[WSJ]アップルは、ジョブズなしでどうやって生き残るのか?

2008年12月20日 at 2:45 am コメントをどうぞ

2009年1月のMacWorldはアップルにとっての最後の参加となり、当日はジョブズはプレゼンをしない。
こんなニュースが飛び込んで来たが、私にしてみれば「とうとう来たか・・・」という印象だ。
今年の6月以降、ジョブズの影はすっかり薄くなってきたし、きちんと布石は打たれていたような気がする。

いくつか目にした記事から判断する限り、ネガティブな評論ばかり。
ジョブズは深刻な病気なんだ、アップルは発表する新製品がないからだ、後継者プランがない、アップルはジョブズなしでどうするのか?など。

そんな中で、ちょっと笑えたのがこちら。

Whether warranted or not, the move will no doubt spark fresh speculation about the health of both the CEO and the product pipeline, but the ones who are really sick are the folks at expo organizer IDG, who are now wondering why Santa hates them.

本当に病気になってるのは、イベントオーガナイザーのIDG。今頃、「何でサンタさんに嫌われちゃったんだろう?」って疑問に思っているよ。

Good Morning Silicon Valley

「これはひどい」と思ったのがこちら。

Who could replace Steve Jobs?
SiliconValley.com

ジョブズの後継者候補を何人か挙げて、比較するの巻。
それぞれこういう能力に優れている、と語っておきながら、
「でもジョブズのようなカリスマ性がない」だの「キレがない」だの「こういうスキルに欠ける」だの、挙げ句の果てには「年取り過ぎ」だの。
これは、ジョブズにも候補者にも失礼でしょう。
スティーブ・ジョブズはこの世にただ一人。候補者だって、「ジョブズみたいになりたい」と思っている人は皆無のはず。
そもそも、彼らがジョブズに欠ける能力を補ってきたからこそ、ここまで来たんじゃないんですか?と思う。
どんなに優れた製品だとしても、世の中に埋もれたまま消えて行くものだってあるわけですし。

そして、ようやく私の気持ちを救ってくれた記事がウォールストリートジャーナルでした。
強固なチームが形成されているから、ジョブズが経営から退いた後でも、優れた製品を生み出すことができるだろう、という見方。

それでは、以下、要約(拙訳)。

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How Apple Could Survive Without Steve Jobs

今回のニュースで、ジョブズの健康や、新製品の進捗についての問題が浮かび上がるが、もう一つの問題は、カリスマCEOなしに、どうやって新製品を生み出し続けるのか?ということだ。

ジョブズ支配の継続性についての憶測から分かるのは、アップルのクールな製品が創業者とどれだけ同一視されているか、ということが改めて浮き彫りにされていることだ。
アップルのスポークスマンは、ジョブズの健康問題には触れないものの、「もしスティーブや役員が、彼がアップルのCEOとしての職を退くことを決定した時は、必ず知らせる」と言った。

状況が変わったら、どうなるのだろうか?
社内フタッフの関係者によると、楽観主義者の理由としては、アップルのハード、ソフト、サービスの開発チームの形成だ。このグループは、今や強固なチームワークを形成しているので、会社はジョブズなしでも革新的な製品を生み出すことができると信じている人達もいる。

マネジメントチームに対する自信の一つには、10月に行われたイベント(まだジョブズが仕切っていた)で新しいMacBookを発表した時に、前例のないほどの役員が登場したことだ。

ジョブズは、1985年にアップルを去ってから、1997年に戻って以来、iMacやiPod、iPhoneといった製品開発の指揮を執ってきた。彼は、CEOとして、こうした製品の開発や、ユーザーエクスペリエンスに影響を与えるような細かいところまで心を砕くという重要な役割を果たしてきた。

「ジョブズは、実際には製品のデザインはしないんだ。彼は、チーフ編集員みたいなもので、アップルの製品のアイディアを洗練させ、発展させる役割を担っているんだ」と元アップル役員は語る。

「彼は、アイディアは思いつかないんだ。とにかく、それらをフィルタリングするんだ。とBill Bull(1980年代と、ジョブズが戻って来た後にエンジニアとして働いていた)は言う。

実際にアップルのイノベーションに手を動かすのは、ジョナサン・アイヴ(デザイン担当VP)のような部下だ。彼のチームは、MacBookAirのようなあり得ないほど薄い製品の見た目や質感といったものを担当している。

もう一人のVP、Scott Fortstallは、iPhoneのOSや他のソフトを担当するチームを率いている。社内で、彼の重要性が高まっている兆候として、Fortstallが今年に入って二度ほどメディアやイベントで話す機会があったことが挙げられる。しかも、ジョブズのトレードマークでもある、同様の演出能力の片鱗を見せつけていた。

今のアップルで、他に重要な人材としては、Ron Johnson (リテール担当VP)で、アップルストア成功の一躍を担った。近年のiPodやMac売り上げの成長にといて重要な役割を果たして来た。

一つの変化は、この11月に Tony FadellがiPod部門のVPの職を辞めたことだ。彼は、iPodを生み出した人物で、社内で懐疑的なスタッフもいたにもかかわらず、ジョブズにこのアイディアを受け入れるよう説得したのだ。Fadellは、今後もジョブズのアドバイザーとなると言っている。後任には、元IBM役員のMark Papermasterが指名された。

製品ラインアップのどのプロジェクトにおいても、ジョブズは毎週、もしくは2週間ごとに2-3時間のミーティングを開いている。それらのミーティングでは、ジョブズは進捗状況を批評したり、加えるべき、もしくは削除するべき製品の要素の提案もしている。

ソフトウェア開発者のGlenn Reid(アップルの初期から、2003年まで勤務)は、写真編集ソフトの製品化数日前に行われたミーテイングを思い出した。ジョブズが、最後の数分でインデックス機能はシステムを不必要に複雑化させるという理由で、削除することを決定した。しかも、その製品の文書はすでに印刷に入っていたにもかかわらず、だ。それは、Reidも、彼のソフトウェアチームをもいらつかせた。しかし、「そのおかげで、その製品がより良いものになったんだ」とReidは言っている。

「ジョブズの妥協を受け入れない姿勢、最後の最後でも指示を出せる権力は、アップルの新製品開発における成功をもたらす要素となっている」とReidは言っている。George Crow(アップルの1980年代、1998-2005年に勤務したエンジニア)は、会社が厳しかったのは、ジョブズがアップルにいなかった時期だと言っている。

Micheal Mace (ジョブズがいなかった時期にアップルに勤務) は、アップルは、プロダクト部門において、今のジョブズがしているように、重要な意思決定を単独で行うことのできる権限を与えられた後継者を置くべきだったと主張している。Maceが言うには、ジョブズが去ってからというもの、役員の会議において、妥協しすぎてしまった結果、良いアイディアが失われることが多かったという。「最終的に役員が選ぶのは、最も優れたものではなく、最も安全なものだった」と彼は言っている。

しかし、Crowが主張するには、ジョブズは、アップルが今後も発展していけるよう、プロダクトに対するビジョンが彼と同一のものを持った十分な人材を採用しているとのことだ。アイヴは、特にジョブズの考え方と一致しているという。ジョブズの感受性は、デザイナーやエンジニアなど、より広範囲にまで浸透していて、ジョブズが実際に考えていないことでも、「スティーブ・ジョブズなら、これについて、どうやって考えるだろうか?」というスタッフがたくさんいるだろうと言っている。

アップルが、来年のMacWorld でジョブズがプレゼンをしないと発表したにもかかわらず、ジョブズがCEOの地位を退くという兆候はほとんど見られてない。

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改めて読み直してみると、やはり楽観視できるほどの内容ではないなあ。。。
一番本質をついている発言は、Maceの「重要な意思決定を単独で行うことのできる権限を与えられた後継者を置くべきだった」ではないだろうか。
ビジョンが共有できるということと、重要な意思決定が出来るということは同じ能力ではない。
優れた製品を生み出せる人材、チームがいても、それを「世に出そう」と決定してくれる経営陣がいるかどうか。

でも、改めて私が思うのは、「ジョブズがいなくなったらどうなるんだろう?」という心配ではなくて、「ジョブズの偉業と、素晴らしいアップルの製品を、リアルタイムで味わえたことに対する有り難さ。
たった3年程度のファン歴でも、十分楽しませてもらっている。
これからも、美しくて楽しい製品を世の中に生み出してくれることを期待しているのはもちろんのこと。
ただ、ソニーしかり、それが永遠に続くことは並大抵のことではないのだから、ユーザーとしては、気長に見守るのみ、です。

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