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ビッグ3やトヨタの地位に取って代わるのは、新規参入者かも知れない

最近、「不況は創造的破壊のチャンスだ」という言葉を胸に、テクノロジーの世界を興味深く観察することにしている。

現在、日経新聞の「やさしい経済学」を執筆されている今井賢一先生の「創造的破壊とは何か」を読みつつ、創造的破壊の主体は企業家(アントレプレナー)であることを改めて学ぶ。

一つのテーマを自分の中に持っていると、不思議と自分が望む情報が入ってくるもので、そこで出会ったのがこの記事。

WSJ: Technology Levels Playing Field In Race to Market Electric Car

何とも魅力的な響きのするタイトルだ。
電気自動車市場において、テクノロジーが、新規参入者に均等な競争機会を与えている。
曰く、ガソリンで走る自動車の場合、開発も生産も複雑化しているが、電気自動車の場合は、部品も比較的少なく、より簡易にコストも少なく組み立てることができるそうだ。
かつて、PCはIBMによって独占されていたのが、部品を持ってくれば誰でも組み立てられるようになり、やがてその価値はハードからソフトへと移り変わって行ったという歴史が、自動車産業でも起こるのではないだろうかと思えてくる。

“It’s almost hopeless for a latecomer like us to compete with GM and other established auto makers with a century of experience in gasoline engines,” said Mr. Wang in an interview, pacing and juggling calls in BYD’s headquarters on the outskirts of Shenzhen. “With electric vehicles, we’re all at the same starting line.”

このBYDという会社は、1995年に携帯電話用の電池の生産からスタートした会社で、今や自動車までも生産している。
まさに、「創造的破壊とは何か」の冒頭で述べられている定義である「新結合」を「創る」を実現したといえよう。
ちなみに、この電気自動車用のバッテリー(リチウムイオン電池)については、元インテルCEOのアンディ・グローブも注視しているようなので、今後も要注目だ。

不況は創造的破壊のチャンス。
産業構造の転換を、この目で見られるかも知れないと思うだけで、世の中の動きから決して目を離してはいけないという思いが強くなる。

Add comment 2009年1月12日

[Economist] All you need is cash

今日から2009年。
自分は今年が本厄年でもあり(思いっきり蛇足)、また、経済環境も明るい見通しが全く持てないという状況。
忘年会でも、気づくと話題は「景気がどうビジネスに影響しているか」という方向になり、何となく雰囲気も暗めに。。。

とはいえ、こんな時こそ、世の中がどう変化し、自分の仕事、生活にどう影響が及ぶのか、自ら考えていかなければいけないと思う。
ということで、新年最初の学習は Economist から。

Economist: All you need is money

1980年代から続いて来た企業経営の常識が、ここにきて変化しているという話。
今までは、身軽な企業が理想とされてきた。自社の強み以外はアウトソースし、ジャストインタイム供給をグローバルに行う、借入金によってレバレッジを効かす、古いコングロマリット経営は否定され、現金を内部留保する企業は懐疑の目で見られていた。

ところが今や、信用収縮によって資金調達が困難となった結果、とにかく現金を獲得するということが主眼に置かれている。
シリコンバレーにおいてすら、セコイアキャピタルが出資先に従業員カットや、すぐに収益が上がらないビジネスプランは縮小するように、という指示を出しているくらいだ。

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ここで思い出したのが、Business Week のアップルに関する記事。

BW: How to Spend Apple’s Cash.

現金が溜まる一方のアップルは、どのような使い道を考えているのか?と問いかけている。
記事の冒頭では、「2003年からアップルの株価は1,474%も上昇したし、株主としては文句がないけど、一つ文句を言うとしたら、溜まる一方の現金に手をつけていないこと」として、やはり内部留保をする企業は肯定的に見られていない。この記事は今から半年前のものだから、1年どころか、この半年の間に一般常識が変化したということが良く分かる。

今となっては、アップルはスティーブ・ジョブズの健康問題の話題で、現金の使い道どころの話ではなくなっていますが。

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再びEconomistの記事に戻って。
現在の状況の変化を一言で表すと、”just in time” から “just in case” ということで、”タイムリーに”から”もしもの時のために” となるわけだが、ただやみくもに現金を捻り出す策に走ることには警鐘を鳴らしている。
企業が、支出を減らすことで、世界経済が失速することになり、個人はもちろんのこと、企業自身も打撃を受けることになるからだ。

勝ち組、負け組の分かれ道は、「どの費用を削減するか」ではなく、「どのように削減し、何を削減しないか」によって決まるだろう。
不況期こそ、新しいビジネスを始めるチャンスであるのは、大企業自ら、成長の機会を急速に逸していくからだ。オラクルやマイクロソフトも、不況期に生まれている。

この主張を読んで思い出したのが、The Wall Street Journal のクリステンセンのインタビュー記事だ。

WSJ: How Hard Times Can Drive Innovation

クリステンセンによると、イノベーションが失敗に至る要因の一つは、企業がイノベーションに大量の金額を費やすこと、だとしている。飛躍的なイノベーションは、切羽詰まった状況で、リソースが限られた中で生まれるのだ。
————————–

私など、不況期にオラクルやマイクロソフトが生まれた、という指摘と、不況期こそイノベーションが生まれるチャンスだ、という主張を読むだけでグッときてしまう。
第2のオラクル、マイクロソフト、アップル、をこの目で見られるかもしれないのだから。

となると、やはり気になるのはシリコンバレーの現状だ。
ちょっと長いので、メモ書きはまた後日に。

BW: Whatever Happened to Silicon Valley Innovation?

1 comment 2009年1月1日

オイルマネーの行方

HBR9月号で、オイルマネーの特集記事を見つけた。

HBR: Where Oil-Rich Nations Are Placing Their Bets

今や、GCC諸国(バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)は以前の石油ブームの時代とは異なり、より戦略的にオイルマネーの投資先を選定しているという。
それが、世界の金融システムや、産業、そして自国の再形成を行っている、というものだ。

その前に、ビジネスウィークで、同様のオイルマネーに関する記事を見つけたので、参考までにメモしておく。
こちらは、今年の2月時点のものである上、文脈も多少異なるが、ここで挙げられている問題点は、今後、オイルマネーの動きを見る際のポイントとなると思う。

BW: Gulf States Must Use Oil Wealth Wisely

1.さらなる世界の金融市場への資金の流入が、不当な資産価値のインフレを起こさないようにするにはどうするのか?
2.湾岸地域における若い世代の人口の増加に対し、十分な給与を支払える職をどのように作り出すのか?
3.湾岸地域諸国が行う投資の決定が、世界の金融市場を震撼させないためにはどうするか?
4.政府のコントロールによる投資ファンドに対する懸念(政治的な目的のために潤沢な資金を使われない)を、どのように和らげるのか?

では、HBRに戻って。

西欧の再形成

GCC諸国の西欧に対する影響は、3つの点において重要となっている。
1.巨額赤字の補填(特に米国)
2.アラブ諸国は、M&Aの流れに乗り、企業の資産を買い進め、西欧組織への資本注入を行っている。
3.GCC諸国は、積極的な発展や戦略的投資を進めるにつれ、世界中から有能な人材を引き抜いている。

この他、GCC諸国の近隣における国々(中東、北アフリカ地域)の再形成も行っている。
エジプトやヨルダン、モロッコ、シリアといった国は、GCC諸国にとって、投資機会の魅力度を増している。他の国々が中東地域への投資を躊躇している一方で、GCC諸国は市場全体を一掃することができるのだ。

HBRでは、オイルマネーの影響力について、注目度が今まで足りなかったことに対して警鐘を鳴らしている。
石油価格の上昇や、枯渇問題、急成長をしている中国やインドに注目が行き過ぎた、と。
オイルマネーが使われていることについての注目といっても、スポットライトが当たるのは、SWF(政府系ファンド)が、経営に行き詰まった米国の銀行や投資銀行への資本注入についてくらいであった。
しかし、世界の商業における影響力など、さほど重要ではない、という。
西欧の救済よりも、GCC諸国がより近い国々、中東や北アフリカ地域とのビジネス関係の形成や、関心度の方がより重要だ、と。

GCC諸国は、単なる石油だけではない、より多くのもので満たされている。それは、野心であり、才能であり、世界の金融システムにおける重要なハブとなる資本だ。
それは、無視できない、というより無視してはならない。

以上、簡単に訳してみたが、ウォールストリートジャーナルで、このような記事も見つけた。

WSJ: America and the New Financial World

こちらの記事は、GCC諸国を中心に話を展開しているわけではないが、米国は、この数年で富の流出が起きており、投資先としても魅力度が落ちているという内容だ。
米国は、世界資本市場の中心地であったが、これからは重要な地位を占めるとしても、中心地ではなくなる、と見ている。
この状況は、1970年代に、製造業の中心地としての地位をドイツや日本に取って代わられた頃の状況と似ている、という視点は興味深い。
今、GMが生き残りをかけて奔走している状況が、金融業という業界に名を変えて、将来起こるということなのかも知れない。

Add comment 2008年10月16日

ゲイリー・ハメルが語る、サブプライム問題

ウォールストリートジャーナルで、ハメルが今回の金融危機について、分かりやすくまとめていたので、以下、拙訳。

気になることがあるとすれば、ハメルが教訓として挙げている、「バカは伝染する」例で、Japanese schoolgirlsを取り上げているのは、差別じゃないか?と思うのだが。。。

こうして読んでみると、当たり前のことが見えなくなってしまう、集団心理の恐ろしさが良く分かる。
ハメルは、現実を直視することを「拒絶」してきた、と述べているが、これは人間である以上、逃れられない習性だと思う。
ユリウス・カエサルもこう言っている。

「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」

ローマ時代から、いやそれ以前から変わらない真実。
恐らく、これからも対象物を変えたバブルは起こるのだろう。

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Hamel: Failures of Morality and Leadership

ゲーリー・ハメルは、今日の危機は「だまし」と「拒絶」から来ている、と述べている。
彼の分析、解決策は以下のとおり。

テクニカルな分析としては、次のとおり。

■簡単に手に入るお金
米国の消費者は、簡単にお金が手に入ってしまうことで、借金に走り、さらに住宅ローンのデフォルトリスクが大きく広がってしまった。

■証券化
住宅ローンをCDOという債務担保証券にバンドルし、それを第3者に売りつけることで、銀行はそれらのローンを資産からオフバランス化することができた。その結果、銀行各社は、融資基準を限りなく低くし、誰にでも住宅ローンを提供することになった。

■複雑化
こうして銀行によって作り上げられた新しい金融商品は、証券価値の評価を困難にし、格付け機関にとっても、本来のリスクの評価を困難にした。

■レバレッジ
住宅ローン担保証券の最大の購入者である投資銀行やヘッジファンドは、自分達のポートフォリオを最大化するために、巨額の借金をしていた。彼らの多くは、レバレッジというものは常に諸刃の剣であり、遅かれ早かれ、そうなることを忘れていたようだ。

■流動化
こうした複雑化していて新しいものであるが故に、CDOの本当の流通市場というのは存在していなかった。よって、相場が下落すると、資金繰りが苦しくなっている機関投資家は評価損を出すことも困難であった。

こうした商品を構成していたものは、、、

■だまし
うまい住宅ローン銀行は、初めての債務者と共謀し、収入を多めにし、借金は控えめに見せていたようだ。さらに、中身を伴わない販売戦略や説明の欠如が、多 くの債務者を支払い不可能なローンを組ませる結果となった。銀行員にとっての教訓:どんな金融商品でも、嘘やだましによって作り上げられたものは、本質的 に脆弱なものである。

■自信過剰
サブプライムローンをパッケージ化して証券化することに関わっていたウォールストリートの頭脳明晰な人々は、リスクの説明、分散する能力があると 自負していた。頭脳明晰であっても、彼らは高度な知識を欺瞞の区別がつけられなかった。いまや、悲しいことに、彼らはリスク分散はリスクを軽減することと とは異なることを学んだ。大きなレバレッジによってリスクが高まって初めて。

■近視眼
この新しく構成された商品を作り出し、価格付けをする際に、若き実力者達は起こりうるリスクを推定するために複雑な金融モデルに頼っていた。しか し、このモデルは最近のデータに基づくものであり、それらは資産価値がこれまでになく上昇していた期間のものであったため、資産価格が暴落する可能性の予 測は不可能であった。もう一つの教訓:ここ100年の激動を思い出せないからといって、もう一つの激動が起こらないというわけではない。

■どん欲
数百万ドルのボーナスという誘惑によって、スーツを着た真面目な銀行員は、そこそこの給料をもらえるという一般的な感覚を拒絶し、熱狂的な投機家 へと変わっていった。過去のバブルのように、どん欲というものは、人間の愚かさを絶え間なく露呈させるものであることが再び明らかとなった。

■拒絶
2002年の初期あたりまで、住宅価格上昇とともにあったポスト2000年は、特異で持続不可能な時期であることは誰にでも明らかであった。この ケースに見られるように、本当の問題は、将来は予見できないということではなく、将来を受け入れ難いということである。住宅ブームに乗っていた人々は、事 実を直視することを拒み、避けられない事実を無視するという選択をする。

銀行は、こうした人間の弱さに特に影響を受けやすく、結果として食欲異常亢進症にかかりやすい。10年ごとくらいに、近視眼的な銀行員は、巨額の 債務を貪り、国債やロシア債、住宅ローン担保証券などを作り出し、これらの資産を積み上げる。今回は、銀行がアメリカ経済全体に全てを投げ出したというこ とになる。

とはいえ、今回の金融危機は、我が国の金融機関を統括する人々に求めているような道徳観を持ったリーダーを前面に立たせることになると言えよう。 それは、正直さ、謙遜、慎重さ、先見性、そして監督と報告の責務である。米国の金融システムの土台を再構築すると考えられている規制や資本の再構成より も、これらの道徳観は重要な要素である。

ワシントンで論争している官僚がどんな救済計画をでっち上げようとも、一つの条件を加えた方がいいだろう。特に、公的資金を受ける全ての銀行家は、次の永遠の真実を額に刺青することに同意しなければならない。

■錬金術はあり得ない
数百年前にアイザック・ニュートンが明らかにしたことは、今日でも真実である。不純物(今回のケースでは、屑のようなローン)は、どんなにあなたが優秀であっても、金(AAA証券)に変えることは不可能である。

■永遠なんてものはない
推定された傾向が、ばかげた結果(百万ドルの住宅)を生み出すとしたら、その逆もあり得る。だから、そのようなことは起こらないということに賭け続けてはいけない。

■リスクとリターンの相関関係は避けられない
恐らく、毎年毎年、プラスアルファのものを生み出すことが出来る人もいるだろうが、それは恐らくあなたもなければ、あなたの知り合いでもない。

■バカは伝染する
銀行家として、レバレッジと複雑化に取り付かれていた強迫観念について、再考した方がよい。そして、日本の女子生徒のように、ばかげた流行に影響を受け易いという真実を認めるべきだ。

これは、銀行家の過食症の治療にはならないが、ここから始まる。

Add comment 2008年10月4日


 

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