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[映画]ベンジャミン・バトン

病と闘う友人から薦められた一本。
映像技術は優れているのだろうけれど、ストーリーは大したことないんだろうと勝手に思って見ずにいた一本。
でも、「生きる」ことについて真剣に考え抜いている友人が「良かった」と思った作品だ。この作品に何を感じ、何を「良かった」と思ったのか、少しでも知りたいと思った。

考えてみれば、人の視点から映画を観ようと試みるのは初めてだ。だから、見終わった後の印象も、ただ単に「良かった」「大したことなかった」ではなく、
「ああ、この台詞に考えさせられたのかな」「この終わり方が良かったと思ったのかな」という思い。今の自分が置かれた状況で観ていたら、素通りしていたかも知れない台詞の数々が、重くずっしりと私の心に刻まれた。
恐らく、この作品の評価の分かれ目は、鑑賞者が自分の人生と照らし合わせて考えて観るかかどうかにあると思う。

もう一つ、この作品の映像技術についても少し触れておきたい。
映像技術担当者のTEDでのスピーチ。

技術も人も金もなく、不可能だと思われていたプロジェクトを可能にしたというエピソード。

どんな状況でも可能性はある。

みんな、君の回復を信じているからね。

Add comment 2009年10月25日

Pixar社長が語る、一つの映画ができるまで

Pixar好きとしては、見逃せませんでした。この記事。
Pixar の共同創業者で、今はPixarとDisney Animation Studiosの社長を務めているEd Catmullによる記事です。

HBR: How Pixar Fosters Collective Creativity

私など、この文章だけでグッときます。

We have never bought scripts or movie ideas from the outside. All of our stories, characters were created internally by our community of artist.

そうだ、そうだよな、と。
それに、自社の社員を”our community of artist”と表現しているところも非常に興味深い。
会社という組織からイメージする官僚制や肩書きといったものとは無縁で、「わいわいがやがや」みたいな印象を受けます。

それでは、以下、簡単な要約+感想を。

What Is Creativity?

creativityというと、暗黙知的な単独行動で、たった一つのアイディアに絞り込んで行くこと、のようにとらえられがちですが、Edはこれに意義を唱えます。
映画とは、まさに何万というアイディアから出来上がるものであり、文章、台詞、キャラクター作り、セット、背景、カメラワーク、色彩、ライティング、といった要素からなるもの。ディレクターやリーダーが全てのアイディアを自分たちで考えるのではなく、200-250人ものグループが提案するもの。
リーダーの役割とは、それらの膨大なアイディアを整理して、一つのストーリーを支える要素を見つけ出すこと。

一方で、マネジメント層は、リスクを避けたり最小限にしようという行動に陥りがちなため、何か新しいものを作り出すのではなく、成功例をコピーすることになるのだ、とEdは他の映画会社を皮肉ります。
では、Pixarのマネジメント層の役割とは何か?

Management’s job is not to prevent risk but to build the capability to recover when failures occur.

この失敗から復活するのに大切な要素というのが、この記事で一貫して唱えられている、「才能ある人々」。アイディアよりも、まずは人が大事だと。
もちろん、才能ある人を集めただけでは意味はなく、お互いを信頼し、一緒に作り上げて行く仕事に対する熱意を皆が感じられる環境をいかに作るか、といったことについてもEdは述べています。

実際、2006年にPixarがWalt Disney に買収された際に、Edを中心としたPixarの経営陣はDisney Animation Studioの再生を任されるわけですが、こうしたPixarの手法は適用が可能だったそうです。

トイストーリー2での教訓

Pixarにとってのターニングポイントは、 トイストーリー2だったそうです。
というのも、Pixarにとって2作目となる「バグズライフ」の作成をしている間、トイストーリーの続編作成も開始することになったため、組織的な問題が発生したとのこと。
それは、1作目のトイストーリーに関わっていたクリエイティブリーダーの全員が、バグズライフ作成に係っきりだったため、経験のないクリエイティブチームをトイストーリー2のために編成せざるを得なかったこと。
しかも、当初はトイストーリー2はビデオ販売のみの予定だったのが、Pixarたっての希望で、劇場公開することになったため、スケジュール的にも厳しいものだったそうです。

結局、バグズライフ作成が終了した後、トイストーリー2の当初のクリエイティブリーダーが引き継いだわけですが、ここで発生していた問題は、「全体のストーリーに今ひとつドラマが足りない」こと。
この映画を見た方は分かると思いますが、Jessieという女の子のキャラクターや、”When she loved me”というSarah McLachlanの曲などの要素(アイディア)が加わった結果、私たちの心を捉える素晴らしいストーリーとなり、興行成績はもちろんのこと、キャラクター商品も含めて、大成功をおさめたのでした。

この作品を通して、Pixarが学んだことは何であったのか?

教訓その1:人そのものの方がアイディアよりも勝る

以下の文章は、格言といっても良いと思います。

If you give a good idea to a mediocre team, they’ll screw it up. But if you give a mediocre idea to a great team, they’ll make it work.

「良いアイディアを二流のチームに言っても台無しにされるが、たいしたことないアイディアでも優れたチームに言うと、それは素晴らしいものになる」

教訓その2:我々が作成する映画は全て、一つの品質基準がなければならない

これは、「いくつかの作品は素晴らしいけど、他はたしたことないよね」という品質のブレは、絶対に許さない、という姿勢です。

Power to the Creative

トイストーリー2の後、Pixarはディベロップメント部門の再構築を行います。
まず、部門の役割は、(ほとんどのスタジオが行っているような)新しいアイディアを出すことではなく、

「少人数のチームから編成し、それぞれのチームは、ディレクターがそれぞれのアイディアを、John (Chief Creative Officer) やシニアの映画製作者が納得できるレベルまで洗練させることを手助けする」ことにしたそうです。

これは恐らく、たった一人のアイディアが多数決で採用される、というものではなく、チームのメンバー同士で色んなアイディアを組み合わせたり、それをまた変化させて、、、というような、例えて言うと「料理」がチーム内で行われているのだと思います。

ここで、優れたディレクターの定義がされています。

Good directors not only possess strong analytical skills themselves but also can harness the analytical power and life experiences of their staff members.

これこそ、Pixar映画が私たちの心を捉えるストーリーを作り出してくれる要因だと思います。

トイストーリーであれば、「小さい頃、お気に入りだったおもちゃを処分してしまったことに対する申し訳ない気持ち」を持っているスタッフがいたのだろうし、
モンスターズインクであれば、「こんな時こそ、泣くのではなくて、笑うことを大事にしようよ」と思うスタッフがいて、
ニモであれば、「トイレから海につながっているとしたら。。。」と想像できるスタッフがいて、
カーズであれば、高速道路の発達によって、昔ながらの町並みが廃れて行く様子に心を痛めるスタッフがいて、
レミーのおいしいレストランであれば、母親の手作り料理が何よりも美味しいと思っているスタッフがいたのだろうな、と。

こういう一人一人の人生経験や思いが込められた映画というのは、小説を元にしたり、過去の映画のリメイク映画にはない、大変な苦労とリスクがあると思います。全て、無からのスタートなわけですから。

以下、まだまだEdの文章はPixarで実践されていることの説明が続きますが、この辺で。

こちらで、Edのインタビューが聞くことができます。

最後に、私が印象に残った彼のメッセージ。

The ultimate test of whether John and I have achieved our goal is if Pixar and Disney are still producing animated films that touch world culture in a positive way long after we two, and our friends who founded and built Pixar with us, are gone.

これを究極の目標にしているところに、彼の共同創業者としての責任が感じられます。
社員一人一人の能力を大切にする組織を作り上げたとしても、自分たちが去った後がどうなるかは、まだ分からない。
自分たちが関わった映画だけが素晴らしい作品として残るだけでは、目標を達成したことにはならない、と自覚していることに、私は感銘を受けました。

Pixar映画だけでなく、Pixarという会社も私のお気に入りリストに追加しよう。。。

Add comment 2008年10月12日

[映画]テルマ&ルイーズ

久しぶりに爽快な映画を見た。

あらすじを全く確認しないで見たことで、ストーリー展開の意外さを楽しむことができる、ということを改めて実感。
特に、女二人旅の楽しい物語だと思っていただけに。

逃避行の物語と分かってから、まず最初に思い出された映画は、シャーリーズ・セロンの「モンスター」だ。
ただ、「モンスター」のような暗さは全くなく、二人が仕出かす事は許されないことであるにもかかわらず、むしろ爽快。
ドライブ中の景色も壮大。(ここで、Pixar映画の「カーズ」を思い出す)

観賞後、wikiで調べてみると、この作品は「モンスター」と同じ女性をモデルとしているそうだ。
私の思いつきも、あながちズレたものではなかったらしい。

この作品で私が気に入ったところは、爽快感と同時に、抑制が効いているところ。
ルイーズの過去も、全てを明らかにせずに「ああ、何かあったんだろうなぁ」と思わせるところで終わる。
ラストのシーンも絶妙なところでストップする。
それでもモヤモヤ感は残らない。

最近、満足できる映画が少なかっただけに、この作品との出会いの嬉しさは大きい。

Add comment 2008年10月4日


 

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